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「AI×デザイン」はどうなる?クリエイターとAIの共存について考える
テクニカルディレクター
高城真生
こんにちは。ZEROテックラボ所属のテクニカルディレクター、高城真生です。テックラボは、たきコーポレーションの中でも唯一、エンジニアを抱えるチーム。これまで、Webサイトはもちろん、Webプロモーション用コンテンツやイベント向け体験型コンテンツ/インスタレーションなど、さまざまな新しいコンテンツの開発に取り組んできました。そんなテックラボ及び私の中で、最近注目しているのが、AIの活用について。AIの台頭によって、デザインの現場がどのように変わっていくのか、私の所感をお話しさせて頂ければと思います。
高城真生(ZERO所属)
さまざまな形態のWebサイト制作を経験したWebデザイナーとしての出自と、プログラミングスキルを活かし、テクニカルディレクターとして技術的な課題にアプローチしつつ、クリエイティブなデザインとの調和を実現します。またプロジェクト全体の技術的な方向性を指示しチームをリードする一方で、モックの作成やプレゼンテーションを行いアイデアを実現に導きます。
台頭する生成系AIと、たきコーポレーションの取り組み
近年、チャットGPTの台頭により、企業はもちろん一般の人々の間でも、AIへの興味・関心が高まってきています。これらは生成系AIと呼ばれるジャンルのもので、チャットGPTの登場をきっかけに、さまざまなところで生成系AIを活用したサービスが生まれ始めました。
例えば、AIがコピーライティングをしてくれる「Copy.ai」や、画像生成ができる「Midjourney」「Stable Diffusion」、さらに音楽を作ってくれる「Stable Audio」に、版権の問題をクリアした画像生成サービス「生成AI by Getty Images」「Adobe Firefly」など、その種類は多種多様です。
ちなみにこのブログ記事のトップイメージは「Stable Diffusion」を使って、“オフィスで生成系AIを使用しているクリエイター”というプロンプトで生成してもらいました。
こうした生成系AIの隆盛は、私たちとAIとの距離感を大きく近づけてくれましたが、実はそれ以前にも、AIを活用したサービスがなかったわけではありません。
生成系AIより以前に主流だったのは、もう一つのAIジャンルである認識系AIです。認識系AIはこれまで、特に生産現場や一次産業でよく用いられていました。例えば工場のラインで不良品を見分けたり、フルーツなどをサイズ別に仕分けたり、今では当たり前の機能としてあるスマホやカメラなどの顔認証機能も、認識系AIによるものです。
私たちたきコーポレーションでも、これまで認識系AIを活用したサービスをいくつか開発しています。認識系AIを使って漢字を読み取ることで得点を獲得する「かきとりバトル」や、カメラの前で特定の表情をするとそれに合ったエフェクトが現れるインタラクティブサイネージ「絵Motion」もその一つ。このようにたきコーポレーションでは、AI技術の発展に合わせながら、「AI×デザイン」の可能性を追求してきた歴史があります。
https://www.taki.co.jp/works/web/kakitoribattle
https://www.taki.co.jp/works/interactive/emotion/
AIと戦うのではなく、AIと並走していくことが求められる
チャットGPTに代表される生成系AIが登場した時、コピーが作れて、絵も作れてとなると、将来的にはたきコーポレーションの事業と全く同じことが、AIだけで完結できてしまうのではないかと思いましたね。だからこそ私たちは、生成系AIによる社内勉強会を実施し、実際の業務でも使えるところでは生成系AIを積極的に使っていくようにしました。ある案件では、生成系AIで作ったアイデアが採用された例もあります。
また、生成系AIについてより広く知ってもらうために、TAKI SMILE DESIGN LABOの活動の一環として、小学生向けのワークショップを実施。そこでは「Midjourney」を使って、メタバース上の理想の学校をデザインしてもらいました。
そうする中で見えてきたのが、私たちクリエイターが目指すべき方向性です。昨今、「AIに仕事が奪われる」という怖いワードを目にする機会も増えていますが、クリエイターはその限りではないと感じています。むしろAIを上手く活用し、並走しながらクリエイティビティを発揮していく存在になるのではないでしょうか。
なぜなら、AIが学習できるのは既に世の中にあるものだけ。1を2にも100にも増やすことができるかもしれませんが、完全に0の状態から1を作り出すことはできません。そうしたインスピレーションの部分は、人間のクリエイターにしかできないのです。そして見方を変えれば、0から1を人間が担えば、あとはAIが100にでも1000にでも広げてくれる可能性があるということです。そうなれば、クリエイターはますます0から1の作業に集中することができるようになり、より良い作品づくりを実現することができるでしょう。
AIに負けないようにするのではなく、AIを上手く使いこなしていくことが、これからのクリエイターに求められる素養と言えるかもしれませんね。
AIが当たり前になることで、デザインの可能性はもっと広がる
既に広告の現場においては、生成系AIをプロモーションに用いるケースが増えてきています。LIFULLの「1万種類のフワちゃん」や、オタ恋のバナー広告、キンチョールのテレビCMなど、目にしたことがある人も多いでしょう。
今はまだ「AIを使った広告」ということが特異的であるとして注目されていますが、来年にはそういった物珍しさの要素はなくなり、当たり前のように使われ、当たり前のように受け入れられるようになっているでしょうね。
しかし先ほども述べた通り、それによってクリエイターの役割が縮小したりなくなったりするわけではありません。むしろ、自分たちの可能性を広げてくれる便利なツールが登場したぐらいの感覚で、フランクに接していくのが望ましいのではないでしょうか。「AI×デザイン」は、これからますます大きく進化・発展していくはずです。