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企業パーパスは無料のフレームワークで作れる?弊社提供のもので実験
ブランドデザイン部
コピーライター
こんにちは!
たき工房ブランドデザイン部のコピーライターです。
前回は「10分から始められるパーパスブランディングのススメ。」で、たき工房オリジナルの「パーパス体験フレームワーク」についてもご紹介しました。
10分から、そして1人から始められるパーパスのフレームワークとして、セミナーや体験ワークショップでも大活躍しています。
ただ、天の邪鬼な私はふと疑問に思いました。
本気でこのフレーム使ったら、
これだけでパーパス導き出せちゃうんじゃない?
ということで!
今回このオリジナルフレームを使って、私が所属するブランドデザイン部が今後掲げるパーパスを導けるか挑戦してみました。
本記事ではフレームの使い方も含めて、その過程と結果をお届けしようと思います。
目次
たき工房オリジナルフレームワーク
もともとこのフレームワークは、パーパス導出の流れを体感してもらうために開発しました。
本来は数ヶ月かけ、幾度にもわたるワークショップを経て導き出すというプロセスを、「えいや!」と1枚のシートにまとめたものです。ただ、パーパス導出の流れは踏襲しているので、基本的にこのフレームがあれば(理論上、誰でも、簡単に)パーパスを導き出すことができるはずです。
パーパスには大切な2つの要素があります。「VALUE」と「NEEDS」です。「VALUE」は企業が持つ独自の価値や大切にしてきたDNAや想いのこと、「NEEDS」は向き合うべき社会の望みや課題のことです。この「NEEDS」がとても重要で、これがないと単なる自己満足の宣言になりかねません。
そのため体験用とはいえ、このフレームはVALUEだけでなくNEEDSもしっかりと考えられる構造です。
だからこそ、10分という短い時間でも「どんな企業価値」をもって「どんな社会の声に応えていくか」を考えられるようになっています。
オリジナルフレームワークの使い方
たき工房オリジナルフレームの全体像はこんな感じです。
左側にVALUEに関する質問、右側にNEEDSに関する質問があります。
両側のVALUEとNEEDSを埋めていき、それぞれで出てきた要素をかけ合わせることで、パーパスを導き出せるという設計です。
ここからは、もう少し詳しくフレームの使い方をご紹介します。
といっても、構造は凄くシンプルです。
(1)NEEDSの質問に答える
(2)VALUEの質問に答える
(3)NEEDSとVALUEで出てきた内容をかけ合わせて、パーパス(1つの文章)にしてみる
これら3つの流れを経て、パーパスは導き出すことができます。
では、それぞれを詳しく紐解いていきます。
(1)NEEDSの質問に答える
VALUEのほうが自社に関する質問なのでとっかかりやすいのですが、そこはぐっと我慢していただき、まずNEEDS側にある質問に上から順に答えていきます。
●どんな人に貢献したい?
●その人は普段どんな[行動]をしている?
●その行動はどんな[思考/望み]があるから?
ポイントは、「今後、自社が関係を築いていきたいお取引先やお客さま」などを想像しながら記入することです。
なぜNEEDSからやるべきなのかと言うと、パーパスが存在意義を表した言葉だからです。
「なぜ、自社が存在するのか」という問いの答えこそがパーパスである以上、大切なのは「企業が何をできるか」よりも「社会に何を提供できるか」という視点です。そのため、VALUEよりもNEEDSから考えていく必要があります。
極論を言えば、そのNEEDS次第でVALUEとするものが、これまでの企業活動からガラッと変えたものであってもいい。それくらいNEEDSは重要なものであると考えます。
少し、ブランドデザイン部の回答例もご紹介しながら、各項目の考え方をご紹介します。
私たちはオンラインホワイトボードツール「miro」を使用して、デジタル付箋を使いながら書き込んでいきました。
そして、共感したものや、応えていきたい人や想いに赤いシールで投票を行っています。
こうすることでチーム内の共通認識や目線合わせができます。
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ここで書き出したいのは貢献したい人の「ハード」と「ソフト」の情報です。
ハード情報とは、その人の輪郭をはっきりさせるためのもの。年齢や肩書きといった属性を書き出していくことで、だんだんと貢献したい人のイメージを明確にしていきます。
ソフト情報とは、その人に生命を吹き込むもの。何を考え、どんな志向があるのか。どういうタイプなのか、などを書き出して人となりをイメージしやすくしていきます。
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次の質問では、より詳細にその人を紐解いていきます。輪郭がはっきりし、動き出したその人物は、どんな行動を取るのか。何に興味があり、休日はどのように過ごすのか。仕事への向き合い方、ワークライフバランスのとり方、嗜好品やこだわり。そんなことに思いを巡らせて、出来上がった人物像にどんどん肉付けをしていきます。
●その行動はどんな[思考/望み]があるから?
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NEEDS側でもっとも大切な項目がこちらです。
この項目を書き出すために、これまでの2つの項目があったと言っても過言ではありません。
ここで導き出したいのは「今後、自社が関係を築いていきたいお取引先やお客さま」の深層にある潜在的な悩みや課題。
自社が応えていくべきNEEDSということになります。
(3)VALUEの質問に答える
NEEDSが完了したら、次は左側のVALUEを埋めていきます。
皆さんは、普段お仕事をする中で自社の強みをどのように捉えていますか?
例えば営業、開発、採用など社外に目を向ける時、自社の強みは何か考えますよね。ここではそういった自社の強みを考え、よりハッキリと自覚していきます。
そのための質問が下記の3つです。
●私たちの[強み]とは?
●私たちの[らしさ]とは?
●私たちしか生み出せない[特別な価値]とは?
ポイントは「その強みは、他社にはない強みか」という自問自答を繰り返していき、他の会社にはない強みを見つけ出していくことです。
●私たちの[強み]とは?
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この項目では、自社の強みをあらゆる角度から洗い出します。
お客さまから褒められるところ、自分たち自身が武器だと思っているところ。能力だけでなく、向き合い方や人柄なども含めて幅広く検討します。
●私たちの[らしさ]とは?
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先程の「私たちの[強み]とは?」で出てきた項目を、自社のパーソナリティに変換します。「アウトプット力が強い」「言語化力がある」ということは、「妥協しない」ということだ、など出てきた項目と項目をくっつけたり、掘り下げたりして「それってつまり?」を書き出していきます。
●私たちしか生み出せない[特別な価値]とは?
最後に、これまでの質問で出てきた項目を昇華させ、自社ならではの価値へと変換していきます。
ハードとソフト両方から検討した項目を集約したり、かけ合わせたり。
その上で「その価値がもたらすもの」まで言えると、なお良いです。
「全部をワンチームで取り組む」ことによって「本音で意見を言い合え、本気で同じ未来を目指せる関係を作れる」などです。
(3)NEEDSとVALUEで出てきた内容をかけ合わせて、パーパス(1つの文章)にしてみる
いよいよ、パーパスを作るフェーズです。
いきなり書き始める前に、ぜひシートに埋まったVALUEとNEEDSを見返してみてください。
お客さまや社会のことを考えて出したNEEDSと、改めて自社のことを考えて出したVALUE。
例え短い時間で取り組んだとしても、新たな発見や気づきがあるのではないでしょうか。
これらの中から、あなた自身が重要だと思うものに印を付けてください。
VALUE・NEEDSいくつでも構いませんし、どの項目から選んでも大丈夫です。
この印が付ついたものをかけ合わせることで、パーパスを文章として仕上げていきます。
最もシンプルなのは、「VALUEでNEEDSを〇〇(叶え、実現、解決)する」という構造の文章にしてみることです。
例えば、ブランドデザイン部の場合であれば「世界を狭くしたくない」や「まだまだ自分も生活も良くなると信じている」というNEEDSに、私たちの武器である「クリエイティブ」や「ワンチームで取り組む」というVALUEをかけ合わせると「愛とクリエイティブ(VALUE)で世の中のベスト(NEEDS)を更新する」というパーパスが出来上がります。
というわけで、無事ブランドデザイン部のパーパスが出来上がりました!!
それがこちら!
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とは、ならなかったのです!!!!
正直、私はこのプロジェクトを甘く見ていました。
まあ、部署のパーパスを決めるのって社内業務みたいなものだし、会社のパーパス決めるほど大がかりじゃないから10分は無理だとしても、1〜2回簡易ワークショップをやれば決まるだろうと。
一旦仮でもいいから決めて、そこからブラッシュアップしながら精度を高めていければいいよね〜となるだろうと。
全くそんなことはなかったのです。
誰からともなく「そもそもこれからどんなお客さまと一緒にやっていきたいか話し合わなくていいのかな」とか「せっかくなら他の会社のパーパスやビジョンも調べておこうよ」とか「NEEDSが偏ってるからもうちょっとこんな視点で深掘りしたいね」とか…。
ありがたいことにどんどんアイデアやフィードバックが出てきました。
最初のうちはリモートでワークショップをやったり
感染予防対策をしっかり行った上で対面も取り入れてみたり
時には、場所を変えて新しい視点を取り入れてみたり
オフィスに戻ってみたり
何度もワークショップをしながら、真剣に議論し、ブランドデザイン部のパーパスをみんなで考えていきました。
その結果、検討プロセスはこんな感じになりました。
シートからはみ出しまくって何倍も議論が膨らんでいきました。
プロジェクト期間約4ヶ月、延べ20時間以上のワークショップという、実案件でのお客さまもびっくりするほどの時間をかけて、やっとブランドデザイン部のパーパスが決定しました。
それが、こちらです。
こうしたパーパスになりました。
ここまでの議論の背景や、込めた想いに関してはまた別の機会にじっくりとお伝えいたします。
結論
ここで改めて最初のタイトルに戻りましょう。
無料のフレームワークで、本当に使えるパーパスは導き出せるのか。
フレームに書かれていない部分まで視野を広げたり、深掘りしたり、相応のスキルや経験が求められますが、この問いの答えは「YES」です!
皆さんも、ここまでガチンコではないにしてもぜひこちらのシートを使って、自社のパーパス導出にトライしてみてください。
きっと新しい発見があるはずです。
本当に使えるパーパスは導き出したいけど、そこまで上手く導き出せるのであれば苦労せんわ!という方もいらっしゃると思います。その場合は、ぜひ、たき工房のブランドデザイン部までお問い合わせください。
私たちがファシリテーションを行なう無料体験会で、みなさんの会社のVALUEとNEEDSの洗い出しをお手伝いし、パーパス導出の流れを体感いただけます。
※2023年3月1日より、社名を「株式会社たき工房」から「株式会社たきコーポレーション」に変更いたしました。
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