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ロゴマニュアル開発の裏側|たきコーポレーションVI開発チーム
デザイナー
阿部友美
こんにちは。たき工房VIチームのデザイナー、阿部です。VI開発ブログの第三回目は、忘れられがちだけれど、実はVIを作る上でロゴと同じぐらい重要なVIマニュアルについて。
VIマニュアルとは、簡単に言ってしまえばロゴの使い方やルールを定めた説明書のようなもの。このVIマニュアルがあることによってどんなメリットがあるのか、逆にないことで生まれる危険にはどのようなものがあるのか、基本となるVIマニュアルの構成等についても紹介していきます。
なぜマニュアルが必要なのか
まずはVIマニュアルの重要性について。正直な話、VI開発においては、ロゴ作りが優先され、VIマニュアルは作成時間を圧縮されたり、ないがしろにされてしまったりするケースは珍しくありません。
しかしひとたびロゴを作れば、名刺や封筒はもちろん、広報紙やカタログ、店舗の装飾やユニフォーム、社用車など、さまざまなシーンでそれらを使っていくことになるでしょう。そんな時、それぞれにロゴの種類やカラー、配置、サイズなどを決めてしまい、俯瞰で見たときに統一感がなければ、正しいブランドイメージを周囲に伝えていくことはできません。
最悪の場合、視認性が下がって違うブランドと思われてしまうことも。こうなってしまっては、せっかく時間と予算をかけて作ったロゴが、無駄になってしまっていると言っても過言ではありません。
VIマニュアルは、ロゴを作った時の想いや目的を定着させ、正しいブランドイメージを発信、浸透していくために必要不可欠な要素の一つ。こだわり抜いたロゴと、細部にまで詰め切ったVIマニュアルが揃うことで、はじめてVIは正しく機能するようになるのです。
そのため、実は「ロゴは今のままで良いけれど、VIマニュアルを修正して欲しい」という依頼を頂くことも少なくありません。かなり昔に作ったVIマニュアルの場合、最新のデジタル機器やSNSに関する規定がそもそも存在していなかったり、車も近年ではキャラクターラインが入って湾曲している箇所が多くなっていたりと、昔に定めたルールだけでは対応しきれないシーンも増えています。
VIマニュアルの内容/構成について
VIマニュアルの内容は大きく分けて、
・ロゴを使用するルール
・ロゴを使用するシーン
の2つで構成されます。
ルールは、例えば縦組み・横組みをした時はこの配置、クリアスペースはこれだけとる、最小使用サイズはこの数値など、ロゴそのものの形などを規定するものと考えて頂ければ相違ありません。
その上で、例えば背景がこの色の時はそのまま使う、あの色の時は白抜きにする、会社名とロゴを使う時はこう、名刺に使う時はこの配置、プレゼンテーションツールの時はこの配置、といった形で、使い方を規定するものがシーンと言えます。
このルールとシーンは、どちらの要素が欠けても、ロゴを正しく使うことができません。特にシーンに関しては、使う場所が増えればそれだけ考慮しなければならない点も増えていきますから、企業によっては100ページを超えるVIマニュアルになってしまうことも。その数字だけでも、いかにVIマニュアルが重要な資料であるかがわかるのではないでしょうか。
加えてシーンに関する部分は、私たち外部の人間だけでは想像できない使い方もあるでしょうから、クライアント様にもご協力頂き、ありとあらゆる場面に対応できるように準備しておかなければなりません。ロゴそのものも、クライアント様の多大なるご協力によって作り上げていくものですが、VIマニュアルに関しても、ロゴ作成と同等かそれ以上の熱量をかけて頂きたいポイントでもあるのです。
実例!名刺作成の際に決めなければいけないこと
VIマニュアルの重要度や必要性についてご紹介してきましたが、より具体的な例として、名刺を作る際にVIの視点から考慮しなければならない部分について解説していきましょう。
名刺の場合、どうしてもキャンパスが小さくなりがちですから、その中でもしっかりとロゴの存在感が出せるように、ロゴ用のスペースをある程度考慮しておかなければなりません。
しかしその一方で、社名や部署、役職、氏名や所在地などは必ず入れなければなりませんし、会社によっては別サービスのロゴやPマークなどを入れたい場合もあります。
また名前一つとっても、一般的な「山田太郎」のような4文字のものもあれば、5文字や6文字が必要になるものや、英語やカタカナの表記が必要な場合もあるでしょう。VIマニュアルは、これらすべてに対応できるようにしておく必要があるのです。
もしも名前4文字のみを想定してロゴの配置やデザインを決め、5文字の人やカタカナの人に対して、その場その場で適当に配置を変えていってしまった場合、同じ会社なのに違う会社の名刺のように見えてしまうことも、ない話ではないのです。
細かい話をすれば、印刷の方法や用紙も考慮すべきポイントになりますし、ロゴの作成ソフトがillustratorなのか他のものなのかで、定めるべき規定が異なってくることも。
このように、VIの視点から見た名刺作成というのは、非常に専門性の高い仕事であり、すべてのデザイナーが一朝一夕にできる仕事ではありません。加えて、実際に運用することで新たな課題が見えてきたり、時代に合わせて変化が求められたりと、常に進化をし続けることが求められるものでもあるのです。
最後に
VIにおけるマニュアル制作について、その重要性やこだわりのポイントをご紹介してきました。ともすればロゴそのものこそが重要と思われがちなVIですが、実はマニュアルがあってこそ真の意味でVIが完成する、ということをわかって頂けたのではないでしょうか。
ロゴの制作は、一見すると華やかな仕事に見えるかもしれませんが、実は地道な作業も少なくありません。そして、そうした地道な作業の一つひとつに対して愚直に取り組んでいくことこそが、素晴らしいロゴを作るために必要不可欠な要素でもあるのです。
CI/VI・アプリケーション開発について(CI/VIダウンロード資料あり)
https://www.taki.co.jp/solution/civi/
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