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dotFesセミナーの様子

dotFesで行われたセミナーの様子

2024年8月25日(日)に「dotFes2024」が開催されました。「dotFes」とは、数々の著名クリエイターによるトークセッションのほか、大人から子供まで楽しめるワークショップ、そして企業による展示会も行われる、「クリエイターのための学園祭」です。コロナ禍もあり今回は5年ぶりの開催となりましたが、会場はなんと弊社たきコーポレーションのオフィス。

せっかくの機会ということで、今回TAKI Blog編集部が参加してきましたので、レポートします!

著名クリエイターによる7つのトークセッション

著名クリエイターによるトークセッションが7つ行われました。NHKの番組「デザインあ」のディレクションなどで有名な中村勇吾氏や、大阪・関西万博でデザインシステムを担当した引地耕太氏も登壇。各回とも60席ほどはありそうな座席に座りきれず、立ち見客も多くいるなどかなりの熱気に包まれていました。また聴講者も、若い学生と思われる方からベテランと思われる方、中には親子で参加されている方も。幅広い年代層の方が参加していました。

7つのトークセッションの中から、4つをピックアップしてご紹介します。

・From Web to Anywhere (Webからどこへでも)

中村勇吾氏・清水幹太氏による対談。Webサイト制作の昔話や、現代のWeb制作の現場がどう昔と変化しているのか、またWeb制作以外のさまざまなクリエイティブ活動についてお話されていました。

Web制作を生業としていると、キャリアとしてはそのままずっとWeb制作に従事していく、というイメージがありましたが、実はそれだけではなく「テレビ企画のディレクション」や「TVCM制作」を行う、というキャリアを歩むことができる可能性もあるとお話されていたのが印象的でした。

・AI時代にデザイナーがデザインするものとは?  大阪・関⻄万博デザインシステムを通して

技術の進歩が目覚ましいAI技術。最近ではあるファストフード店が、AIで生成したクリエイティブを使用したCMを公開するなど、日々大きな話題を集めています。今後デザイナーが不要になるのではという懸念もある中「人間デザイナー」としてどのように立ち回っていくべきか、登壇者である引地耕太氏が手がけた「大阪・関西万博デザインシステム」を通して解説していただきました。

今後AIとは切っても切り離せない社会になっていっても、AIはチームメンバーを率いるリーダーにはなり得ません。そこで「人間デザイナー」として、AIをも「チームメンバー」として捉え、リーダーシップを発揮していく力をつけることが大切だとお話をされていました。

「From Web to anywere」登壇の中村勇吾氏・清水幹太氏

「From Web to anywere」登壇の中村勇吾氏・清水幹太氏

・Web制作とツール、その可能性と現在地

平田大治氏、⻑谷川恭久氏、五十嵐正憲氏の3名による対談。昔、WebサイトはHTMLコードを自分で入力することで制作していましたが、その後Web制作ツールが登場することで現場は一変しました。今後はさらに、AI技術の発展により変わっていく可能性があります。特に近年注目されている「UX(ユーザーエクスペリエンス)」に注目し、AIがUX向上の鍵となる「ユーザーニーズの調査」に大きく関わることになるのでは、というお話をされていました。

・企画提案は大喜利だ!クリエイティブ大喜利ネクスト!

何かを制作するにあたり、「企画提案」は欠かせません。そこで、クリエイターの知識や技術力を使って、何か社会的な問題に対してのソリューションを「大喜利」で提案していく企画。例えば、「近年の酷暑の解決策は?」というお題に対しては、以下のような回答がありました。

・幽霊を呼ぶ

オカルトに詳しい人によると、幽霊がその場にいると気温が2度、下がるらしい。そのため外気温が35度以上になった時に「幽霊を呼ぶ装置」を“発明”した。

・異世界の冷気を扇風機で送り込む

多くの人が利用しているハンディタイプの扇風機では対処ができないほどの酷暑になっている。そのため“特殊技術”を用いて、「異世界の冷たい空気を排出できる装置」を“発明”した。

パワーポイントで作成された資料にもどこか説得力があり、“発明品”もクリエイターならではのこだわりが散りばめられており、クスッと笑えるトークセッションでした。

親子で楽しめるワークショップを開催

ワークショップフロアでは、3つのワークショップが開催されていました。「Java Scriptで現実世界のモノを動かす」という、大人で知識のある方向けのワークショップもあれば、子供から大人まで気軽に参加ができるような優しい内容のものまであり、多くの方が参加されていました。

そのうちの1つのワークショップを、弊社執行役員の藤井賢二が担当いたしましたので、その模様をご紹介します。

弊社藤井が担当のワークショップ

弊社藤井によるワークショップ「エンピツと紙があれば小学3年生から学べるデザインの基礎」

・エンピツと紙があれば小学3年生から学べるデザインの基礎

「なぜこのキャラクターが可愛いと感じるのか?」「なぜこの写真を美しいと感じるのか?」普段イラストや写真を見ているとなんとなく「可愛い」「美しい」といった感情を抱きます。しかしその感情を「言葉」にすること、「なぜ、よいと思うのか?」と考えることはほとんどないでしょう。いくつかの図形やイラスト、写真を見た時に「どの図形やイラスト、写真が好きか、それはなぜか」ということを言語化していくトレーニングを通して、ただのおにぎりのイラストに線や別のイラスト、言葉などを付け足して美味しそうに見せるという課題に挑戦します。

参加されていたのは子供から大人まで幅広い年齢層の方々でしたが、誰もが熱心に聞き入り、自分の「思い・感情」を言葉にすることを積極的にされていたのが印象的でした。このようなトレーニングを積むことで、普段の会話や仕事などにも「自分の意見をはっきり言う」という習慣がつくのでは、とも感じました。

さまざまなインタラクティブコンテンツが集結!企業・団体による展示

展示フロアでは、15の企業や団体が出展し、個性豊かな展示をしていました。今回はその中から4つの展示を紹介します。

・たきコーポレーションZERO「ふくらめアイディア BAKE UP!LABO」

パン生地をこね、形成して焼き上げる。この一連の作業は、私たちが日々行っているデザイン制作のプロセスとよく似ています。そこで、アイディアを練って形にすることで、世界にひとつのデザインを生み出す体験ができるコンテンツを制作しました。シンプルな操作性とAI生成されるユニークなデザインから、子供や女性からの人気が高く、何度も挑戦する方や、焼き上がったパンを見て歓声を上げる方も多く見受けられました。

ふくらめアイディア BAKE UP!LABOをプレイしている様子

ふくらめアイディア BAKE UP!LABOをプレイしている様子

・たきコーポレーションFOCUS×武蔵野美術大学映像学科映像空間ゼミ

武蔵野美術大学大学院1年生を中心に、2025年3月に武蔵野美術大学12号館地下展示室にて実施予定の映像空間プロジェクト「RINSPROJECT#06」のプロトタイピングを展示しました。制作裏話などは映像学科映像空間ゼミのnoteでも紹介されているため、そちらもぜひご覧ください。
https://note.com/renkey/

たきコーポレーションFOCUS×武蔵野美術大学映像学科映像空間ゼミの展示場の様子

たきコーポレーションFOCUS×武蔵野美術大学映像学科映像空間ゼミの展示場の様子

・ジッケン*de*サイゲン

ビービーメディア株式会社様の展示です。漫画などでよく見る「能力解放」。それを現実世界に、テクノロジーを使って挑戦したという作品。グラスに手をかざすと、人によって異なったスキルを解放することができます。

本作品は9月末に行われた東京ゲームショウでも展示されたほか、いくつかの展示会にも出展予定とのことです。

ビービーメディア株式会社様の公式サイトはこちら

ジッケン*de*サイゲン

ジッケン*de*サイゲン

・フューチャット

株式会社コネル様の展示です。自分の顔写真を撮影、専用のサイトに将来の夢や生年月日などの情報を入力すると、20年後の自分からのビデオメッセージが届きます。仕組みとしては、現在の顔写真をもとにAIで20年後の写真を作成、チャットGPTで専用サイトに記入した「将来の夢」をもとにメッセージの内容を作成、そして読みあげソフトでメッセージを読みあげさせるという、複数の技術を用いて開発しています。

体験後、20年後の自分の顔写真もおみやげとしていただくことができました。

株式会社コネル様の公式サイトはこちら

フューチャット

フューチャットで生成した20年後の姿を楽しむ

最先端技術をどう活用するかが重要になる?

テクノロジーの変化によって、さまざまな技術が誰でも簡単に利用できるようになってきました。そのため今後、デザイナーという職業は必要なくなるのでは、とも言われています。しかし今回の「dotFes」では、むしろAIなどの先端技術をデザイナー目線で使いこなす展示も多く見受けられました。

人間のデザイナーと、AIをはじめとした先端技術とでは得意な領域も苦手な領域も異なります。今後のデザイナーにとって必要なのは、新しい技術も柔軟に取り入れ、人間ができないことを先端技術で補い、先端技術ができないことを人間が補う、という「もちつもたれつ」の関係を築いていくことが大切だと感じています。