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制作会社のプロデューサーの仕事とは?品質向上のポイントを解説
プロデューサー
上原高夫
たき工房でアカウントプロデューサー(AP)を務めている上原です。今回は、UI / UXの制作現場で私たちプロデューサーが向き合っていかなければならない課題と、それらを解決するために気をつけて行うべき取り組みについて解説していきたいと思います。
発注をお考えのお客様はもちろん、今後この業界を目指している方にも、参考になれば、と思います。
制作会社におけるプロデューサーの役割とは
まずは制作会社におけるプロデューサーの役割から説明していきましょう。プロデューサーとは、スケジュールやコスト、予算などを管理し、制作作業全般の運営を行うのがメインの業務。お客様とクリエイティブチームの間に立ち、スムーズな制作進行をサポートするのが主な使命となります。
私が特に注意している制作上の重要なポイントは、
1.オリエンテーション
2.人員配置
3.進捗管理
の3つがあります。
オリエンテーションでは、お客様との打ち合わせを通し、制作物の要件やアイデアを具体的な形に詰めていきます。人員配置では、決まった要件やアイデアに対して最適な人材を選定し、チームを構築していきます。そして最後の進捗管理では、日々変化する制作現場の状況を細かく把握し、必要に応じてスケジュールの調整などを行っていきます。もちろん他にもさまざまな業務を行いますが、特に気をつけているのがこの3つです。
プロデューサーとして向き合うべき、制作現場に潜む課題
ここからは、先ほどの3つの業務のそれぞれに潜んでいる課題について解説していきます。
まず「オリエンテーション」に潜む課題について、意外にも多いのがお客様の目的が『相談』なのか『オーダー』なのかが不透明なケースです。オーダーはその名の通り具体的な制作依頼であるため、それに合わせて人員配置メンバーの選定やスケジュールなど、次のアクションを見据えた動きをしていかなければなりません。
逆に相談の場合、具体的に案件化するまでは提案やアイデア出しの方に注力します。相手が本当に求めているものを正しく把握できていないと、お客様にとって本来不必要な情報を一方的に届けてしまったり、貴重な時間を奪ってしまったり、といったことにもなりかねません。一発勝負と言うと大げさかもしれませんが、お客様からチャンスを頂いている以上、一切の無駄を省き、相手が求めるものを最短距離で届ける、という意識を持つようにしています。
もう一つよくあるケースとしてあるのが、イメージの具体化ができていない状態でのオーダーです。お客様の中でもどういった制作物にしたいのかが固まりきっておらず、スケジュール優先での依頼となってしまった場合、制作したは良いものの「思っていたのと違う」という結果になってしまう可能性が高くなります。
お客様の頭の中にあるイメージを具現化することこそ制作会社の使命ですから、どれだけスケジュール的に厳しい状況だったとしても、ここをないがしろにしてはいけません。ある意味、限られた時間の中でしっかりとお客様とのイメージ像を共有できてこそ、プロデューサー冥利に尽きると言っても過言ではないですね。
また人員配置の段階でも課題は存在します。例えば実際の作業を担当するデザイナーには、一人ひとり個性があり、得意なジャンルや苦手なジャンルがあるものです。それらを把握しないままにチームを組んでしまうと、制作物のクオリティを下げてしまったり、余計なやり取りが増えてスケジュールに無理が生じたりしてしまう可能性が出てきます。お客様に対して最善を提供するためには、社内のリソースを漏れなく把握し、それらを活用しきる手段をしっかりと持ち合わせておく必要があります。
具体的に案件が進みだした進捗管理の段階においても、向き合うべき課題は少なくありません。制作作業というのは一朝一夕で完結するものではなく、ある程度長い時間をかけて行っていくものですから、その途中でのトラブルや計画変更などはいわば日常茶飯事。時にはある程度出来上がってきたデザインを一からやり直さなければならなくなったり、時には詰め詰めのスケジュールの中に無理やり新たな業務を追加しなければならなくなったりと、状況は刻一刻と変化していきます。
何事もなく納品までスムーズに進むことはあり得ないと言っても過言ではありません。その前提条件をしっかりと理解した上で、新たに出てくる課題に先回りをし、どれだけ些細な不安の種でも漏らさず摘んでいく。それも、プロデューサーとしてのあるべき姿と言えるのではないでしょうか。無理をした分の影響は、必ずお客様の元へ届いてしまいます。そうならないように、私がしっかりと立ち回っていかなければならないのです。
スムーズな課題解決を実現する、入念なコミュニケーション
こうした各段階で生じるさまざまなリスクを回避していくために必要となるのが、入念なコミュニケーションです。コミュニケーションは、制作進行において最大の課題解決法となります。
例えばオリエンテーションの段階であれば、お客様と対面でしっかりとコミュニケーションを取ることで、ニーズや課題を汲み取り、適切にご対応することができるようになります。
また具体的な訴求内容の固まっていないオーダーであっても、コミュニケーションを重ねていきながら都度こちらからも提案をしていくことで、制作物の精度を高めていくことができます。場合によっては、ニュアンスを推し量るためにこれまでの参考事例を持って行くのも良いですね。
スケジュール優先なのかクオリティ優先なのか、こうしたお客様それぞれの都合についても、密なコミュニケーションから課題解決策への足がかりが見つけられるケースも少なくありません。オリエンテーションの時点でのコミュニケーションを怠らず、依頼の具体性を高めることができれば、後に続く人員配置や進捗管理も格段に精度を上げることができます。
アサインの際には、社内でのコミュニケーションの質と量が重要になってきます。それぞれ得手不得手があるメンバーを適切に組み合わせていくためには、個人ごとの特徴をしっかりと把握しておかなければなりません。日頃からしっかりとコミュニケーションを取っておくことで、各デザイナーのひととなりがわかり、適切なアサインができるようになるのです。
進捗管理の段階で出てくる課題についても、コミュニケーションによって解決に導くことは可能です。極端な話ではありますが、人が作業をしている以上、制作途中での何らかのミスや変更が起きてしまう可能性は常に存在しています。
もし仮にコミュニケーションが不足してしまっていた場合、そうしたミスに気付かず、被害をどんどん大きくしてしまうこともあるでしょう。だからこそ私は、チームでのミーティングを随時行い、進捗状況を絶えず確認できる環境を整えています。こうすることで、ミスを未然に防ぐことができるようになり、お客様にとってもより良い成果を届けることができるようになるのです。
プロデューサーの活躍が、質の高い制作に繋がる
制作の現場において重要なのは、類まれな才能を持ったデザイナーや豊富な経験を持ったディレクターと思われがちです。しかし、彼らが持つ本来の力を遺憾なく発揮してもらうためには、それら全体を俯瞰し、お客様との橋渡し役となるプロデューサーの存在が必要不可欠だと考えています。たき工房では、すべての制作案件にプロデューサーを配し、スムーズで質の高い進行によって、お客様の理想をカタチにしていきます。
※2023年3月1日より、社名を「株式会社たき工房」から「株式会社たきコーポレーション」に変更いたしました。
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