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TAKIブログ

アートディレクター
長山大樹

投稿者

こんにちは、たきコーポレーションのアートディレクター、長山大樹です。
手前味噌な話で恐縮ですが、私たちたきコーポレーションの大きな強みの一つは、制作物のクオリティの高さであると自負しています。ではなぜ、クオリティの高い制作ができるのか。そこには、たきコーポレーションのグラフィックデザイナーが日頃やっている習慣があります。
今回は、私たちの実際の制作フローを交えながら、日頃やっている習慣がどのようにクオリティへと結びついているのかを、ご紹介できればと思います。

長山大樹(IDEAL所属)
2004年にグラフィックデザイナーとして入社。現在は、アートディレクターとしてグラフィックを中心にデジタルやムービー、イベントなどのプロモーションの企画・制作、空間演出やプロダクトデザインなど幅広い領域で活動しています。
また、オンラインデザインスクール D-TOKYOでは、「すごい赤入れ、たきグラフィックマスター 1on1」クラスの講師も務めています。

思いをカタチへと組み上げる、グラフィックデザイナーの仕事

まずは私が考えるグラフィックデザイナーのあるべき姿について解説させてください。

そもそもデザインとは、企業が伝えたい思いを分かりやすく代弁してくれる存在であると、私は考えています。デザインを通して新しい商品やサービスをより深く知り、それらを使うことで豊かになる生活を想像してもらったり。そうしたきっかけを作ることこそ、デザインの意義と言えるでしょう。

その中でグラフィックデザイナーが担うのは、企業の思いをカタチへと組み上げるアウトプットの部分。思いを伝えるためのアイデアと、それを届けるためのビジュアルを、試行錯誤しながら作り、磨き上げていくこと。それこそが、グラフィックデザイナーの使命であり、醍醐味だと思っています。

たきコーポレーションのクオリティを支える、「検証」と「精選」

たきコーポレーションのデザインノウハウの一つであり、私自身もグラフィックデザイナーとして大切にしていることとして、

“検証しつくして、その中から精選していくことで、より精度の高いデザインへと磨き上げていく”

というものがあります。

「検証」と「精選」。一見すると特別なことのようには思えないかもしれませんが、グラフィックデザインにおいてこの二つは非常に重要。たきコーポレーションでは、グラフィックデザイナーがこれらを習慣にするレベルにまでこだわって実践しています。

なぜ検証と精選が必要なのか。そこには大きく二つの理由があります。

一つは、軸となるデザインを作るため。
近年のグラフィックデザインでは、単にキービジュアルを一つ制作して終わりというケースはほとんどありません。それを軸として、Webサイトやバナー広告、動画やイベントブースなど、さまざまな媒体へと派生していくものです。だからこそキービジュアルは、こうした派生の軸となる存在にならなければならないと思っています。仮に表現意図から少しズレたビジュアルであった場合、派生した際にはさらにズレが大きくなり、媒体ごとで伝えるメッセージが異なってしまう、なんてこともあるでしょう。
例えば「○○を感じるデザイン」といった表現意図があったとして、そこにはフォントのカタチやサイズ、色味など、理想となる中心点が必ずあるものです。そして、中心から遠ざかれば遠ざかるほど、その表現意図は失われていく。だからこそグラフィックデザイナーは、その中心点を見つけ、どこまでなら表現意図を崩さずに広げていけるかを見定めなければならず、そこには検証と精選が必要不可欠なのです。

そして、もう一つが、良いデザインを見極める目を養うため。
グラフィックデザイナーの仕事は、必ずしも余裕のある状況で進むわけではありません。予算やスケジュールが十分に確保できていない場合もあります。そんな時には、ゼロから全ての検証・精選を行えないこともあるでしょう。さまざまな制約の中で、効率的に検証・精選を行っていくためには、経験値が必要不可欠。どこを検証すべきなのかを瞬時に見極められる目を養うという意味でも、日常的に訓練しておくことが大切なのです。

ここまでやる!私たちの「検証」と「精選」の実例

検証と精選の重要性について解説してきましたが、ここからは実際の案件を例にして、どのような検証を行っていったのか、解説していきましょう。

題材は、JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニー様の案件。緑茶飲料「朝の茶事」の商品プロモーション「朝茶体操」のB倍ポスター制作時の検証です。
本案件の概要を簡単にお伝えすると、「働く人の朝を応援する」を商品コンセプトとしている「朝の茶事」の認知拡大を目的に朝の通勤・通学時に行えるオリジナル体操をコンテンツとしたプロモーションのポスターになります。

デザインをする上での表現意図は大きく二つ。
一つは「朝の柔らかい雰囲気と前向き(活力)になれることを感じるデザイン」
もう一つは「ホットが販売開始したことをしっかりと訴求できるデザイン」
といったことを念頭において完成したデザインがこちらになります。

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このデザインに至るまでに辿った作業工程は8つ。
それぞれ解説していきましょう。

ステップ1:要素の整理と把握
デザイン開始前の準備段階です。
グラフィックデザイナーは、コピーライターやアートディレクターなどと一緒に、紙面に必要な情報とその優先度を洗い出し、共有していきます。

ステップ2:書体の検証
最初に行うのは、使用する書体の検証。
「朝茶体操」のロゴデザインのベースになる書体はもちろん、検索窓や商品情報の部分など、文字が必要となる箇所はすべて検証していきます。

そして、ここから先のすべてのステップにおいて大事なポイントが二つ。
・表現意図に合うものを基準に、優先順位を付けて複数選ぶ
・選んだ理由を自分なりの言葉で良いので言語化する
これをすることで、自身の納得やチーム内での認識共有、プレゼン時の説得力の向上などににつなげることができます。

ステップ3:レイアウトの検証
レイアウトの検証では、デザインの可能性を広く探っていきます。
メインビジュアルとロゴ、商品情報の位置や大きさのバランス、背景の余白の量、また、ホットを表現する暖色はどれぐらいのバランスで組み込んだ方が良いのかなど、一つひとつの精度よりも全体バランスを考えて広く検証していきます。

ステップ4:ポーズとトリミングの検証
レイアウトがある程度決まったら、次は紙面を構成する要素を細かく見ていきます。
本案件では人物の写真をメインビジュアルとして起用していますので、ポーズをどうするのか、身体はどこまで入れるのか、表情は、目線は、といった具合に一つひとつ検証していきながら、表現意図に合うものを選んでいきます。

ステップ5:デザイン要素の検証
「朝茶体操」のロゴデザインはもちろんのこと、ホット販売中のアイコンや検索窓の表現なども重要なデザイン要素。
これら一つひとつも、表現意図に照らし合わせて検証していきます。

ステップ6:トーンと配色の検証
レイアウトやデザイン要素だけでなく、写真のトーンや紙面内で使用される色に関しても検証していきます。
明るく優しい雰囲気で朝を表現するのか、濃度を上げて締まった強い印象で活力を表現するのか、暖色部分もグラデーションを入れて温かい印象を表現するのか、グラデーション入れるなら上から下?右から左?など。また、ちょっとした色の違いで印象は大きく変わるので、色の設定も5%や10%刻みで細かく検証していきます。

ステップ7:ブラッシュアップでの検証
これまでのステップで行ってきた検証・精選によって、絞られたデザインの細部をさらに整えつつ、気になる部分は再度検証しながら、完成へと進めていくステップです。
文字間や行間、要素の大きさや位置、空間のバランスなど、細かく細かく調整していきます。

ステップ8:原寸サイズでの最終検証
最後のステップとなるのが、原寸サイズでの最終検証です。
原寸サイズで印刷し確認するのはもちろんですが、たきコーポレーションでは可能な限り実際の掲出に近い状態で確認を行うようにしています。掲出場所が異なれば見え方も異なりますし、同じ高さでも歩きながらと立ち止まってでは入ってくる情報量も変わってきます。実際の掲出の状態に近づけることで、デザイン時には気付かなかった新たな課題を発見できることもあるんですよ。

そして、この最終確認で問題がなければ、ようやく入稿データを準備して完成です。

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人間にしかできないことを究めて、次世代のクリエイターを育てていく 

「朝茶体操」の実例をもとに、たきコーポレーションのグラフィックデザイナーが日頃行っている検証と精選について紹介してきました。もちろん、目指すデザインによって検証内容や進行は変わってくるわけですが、例えば限られた時間の中で必要最低限の検証・精選が求められるようなケースでは、どこを優先的に検証するのかを決める「良いデザインを見極める目」が必要になってきたりするわけです。

先日のブログでも触れた通り、デザイン領域におけるAIの存在感は日増しに高まっており、近い将来、言葉やビジュアル画像の生成、レイアウト、リサイズといった作業を、AIが当たり前のようにやってくれるようになるでしょう。そういう意味では、言われたままデザインを起こすだけの、受動的なデザイナーは減っていってしまうかもしれません。
しかしその一方で、どのようなデザインにすべきかのアイデアを考え出し、AIが制作したデザインを確かな目を持って精選し、磨き上げていく工程は、デザイナーにしかできないことでもあります。そのため、未来のデザイナーたちは今でいうところのアートディレクターの立ち位置を求められるようになってくるかもしれませんね。

今回解説した「軸となるデザインを作る」と「良いデザインを見極める目」という二つの力は、アートディレクターにも絶対必要なもの。たきコーポレーションでは検証・精選を通じて、いつの時代にも活躍できるクリエイターを育てているんです。

 

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