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プログラマーチーム「テックラボ」の歩みと、これからの展望
プログラマー
細井砂太朗
こんにちは。たき工房のテックラボでプログラマーをしている細井です。テックラボは2018年に設立された、たき工房の中でも若い組織です。「DESIGN × TECHNOLOGY」をキーワードに、テクノロジーや映像、UI/UXを組み合わせ、体験型リアルイベントやAR/VRコンテンツ、さらにはメディアアートなど、これまでのたき工房にはない新しい価値を生み出していくのが使命です。今回は、そんなテックラボのこれまでの実績と、これからの展望について、紹介したいと思います。
今までたき工房ができなかったことに、果敢にチャレンジしていく
テックラボは、今年で4年目になる新しい部署で、今までたき工房ができなかったこと、やらなかったことに対して、実験的に取り組んでいくことを目的として設立されました。私も入社以来、日々新たに生み出されるテクノロジーを、いかにしてコンテンツへと昇華させられるか、頭を悩ませる毎日です。
そんなテックラボの代表作の一つが、「かきとりバトル!!」です。
これは、漢字の「書き取り」とブロックの「抜き取り」を組み合わせたゲームコンテンツで、退屈で継続がむずかしいと言われる漢字の書き取りの問題をどのように解決すれば良いか考えたのが企画の発端です。私たちはこの課題に対し、手書き文字を読み取る機械学習のテクノロジーを応用することにしました。
ホワイトボード型のコントローラーに指定された文字を手書きし、それをAIに読み込ませ、正しく判別されれば、その文字が書かれたブロックを操作できるようになり、無事抜き取ることができればポイントとなります。このポイントを、最大4人のプレイヤーで競います。
画数が多く難しい文字は配点が高いものの、抜き取りにくい場所に配置されているため、仮に漢字が綺麗に書けたとしても安心できません。確実に点数を取りに行くのか、それとも一発逆転を狙うのか、ゲーム性も非常に高いコンテンツに仕上がっています。
展示会などにも出展させて頂きましたが、子どもはもちろん、大人も白熱していたのはうれしかったです。何度も並び直してくれる子もいて、テクノロジーを活用するだけでなく、しっかりとコンテンツとして成立できているのだということを実感しました。
そしてもう一つの代表作が、「ピカピカドロだんご」です。
新型コロナウイルスの影響により、様々な施設で感染予防のために、手指用消毒液の設置や手洗い指導がされていますが、幼い子どもたちに「手洗いに必要な時間30秒」を習慣づけるのは簡単ではありません。
そこで開発したのがこのコンテンツで、画面に表示されるどろだんごを磨いていくという遊びをすることで、自然と30秒の手洗いができるという仕組みになっています。手を認識するセンサーとどろだんごが綺麗になっていくビジュアルを組み合わせて作成しました。
デザイナーと協力することで、新たなる視点を獲得
「かきとりバトル!!」で印象的だったのは、実際に利用して頂いた方の反応だけではありません。本作では、テックラボのメンバーだけでなく、社内のデザイナーチームとも協力してコンテンツ制作にのぞみました。そこで気が付いたのが、デザイナーならではの視点の発見です。
私たちテックラボは、技術系のメンバーが中心になっているため、どうしても技術を中心としてコンテンツを企画しようとしてしまいます。「かきとりバトル!!」でいえば、手書き文字を読み取る機械学習のテクノロジーをどうすればコンテンツ化できるか、という視点です。
しかしデザイナーの視点はそうではなく、ユーザーにどのような体験をして欲しいか、からコンテンツを企画していくそうです。「こんな体験をして欲しいから、こんな技術が必要だ」という風に考えていく視点は、とても新鮮なものでした。
企画のスタート地点が違うからこそ、気になるポイントや譲れないポイントも異なってきます。もちろん、それぞれの意見をすべて実現することは難しいかもしれませんが、私たちでは気づかなかったポイントにも焦点を当ててくれたため、コンテンツとしての完成度が格段に良くなったように感じます。
「ピカピカドロだんご」の時も、映像チームであるムービーラボと協力させてもらいましたが、社内にそれぞれ異なる専門分野を扱うメンバーが揃っていることが、たき工房ならではの強みであると同時に、私自身の仕事の可能性を大きく広げてくれていると思います。
コンテンツ東京出展で感じた、クライアントの求めること
たき工房は、先日ビッグサイトで開催された日本最大のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京」に出展しました。私たちテックラボでは、「Touch vision」と「Touch de AR」という2つのコンテンツを中心に発表させて頂きました。
出展して驚いたのが、ARなどの最新技術に対するクライアントの感度がとても高いということです。「これって何?」というよりも、「ARでこんなことをできないか?」という相談が多くあったのは意外でした。
これまでのテックラボはあくまでも自社開発であり、クライアントの要望に合わせてコンテンツを作るということをしてこなかったので、直接クライアントの要望や課題、悩みを聞くことができたのは、非常に有益なものになったと感じています。いうなれば、これまで私たちが取り組んできたことに対する、具体的なフィードバックをもらっているような感覚でした。
デザイナー陣と協力した時もそうでしたが、自分たち以外のところからの視点や要望を頂けることが、新しいコンテンツを開発するためのアイデアの源泉になるのだと、改めて実感できました。
最後に
テックラボはこれまで、自社開発によって様々なコンテンツを制作してきましたが、これからはさらにフィールドを拡げ、クライアントワークにも挑戦していきたいと思っています。そこで必要になってくるのは、社内の連携のさらなる強化です。グラフィックや映像など、それぞれの専門分野を扱うメンバーが数多く揃っているたき工房だからこそ、連携が強まることでできることの幅や制作するコンテンツのクオリティはグンと向上するはずです。そうして、クライアントはもちろん、世の中全体に価値のあるコンテンツを届けることができればうれしいです。
※2023年3月1日より、社名を「株式会社たき工房」から「株式会社たきコーポレーション」に変更いたしました。
本ブログには、弊社の旧社名で掲載された記事が含まれております。これらの記事は、当時の情報や見解を正確に反映するため、内容を変更せずに掲載しております。ご理解とご了承を賜りますようお願い申し上げます。
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