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ビジュアルアイデンティティ(VI)が、コーポレートアイデンティティ(CI)戦略やブランディング戦略の中で、どのような役割や効果をもたらしているのか?CI戦略での立ち位置は?そもそもCIとは?VIとは?それらについて解説します。

CIの目的と、VIとの関係

基本的な概念ですが、CI(Corporate Identity)はコーポレートアイデンティティの略称で、自社の企業理念やビジョンなどの理念や価値観を体系的に整え、独自性のあるロゴやマークなどで視覚的に統一したイメージを社会に発信し、コミュニケーションを通して企業の存在価値を高めることを目的とする企業戦略です。

そうしたCIの構成要素に、VI(Visual Identity/ビジュアルアイデンティティ)があります。

VIは、MI(Mind Identity/マインドアイデンティティ)といった企業の存在意義や価値観など、企業の思いを視覚的に表現したデザイン全般のことです。具体的には、ロゴやシンボルマーク、それらから付随するさまざまな視覚的要素のことを指しています。

また、シンボルマークやロゴを運用する際には細かな使用規定を定めてガイドライン化し、そのガイドライン(VIシステム)に沿って広告物や印刷物に展開し、視覚的に統一性のあるブランド訴求を行います。更には企業らしさブランドらしさの魅力の醸成に、最も適したビジュアルを開発し展開することもVIには含まれます。

CIの構成要素

企業戦略には、CI戦略以外にブランディングという戦略もあります。
ブランディングは、企業やブランドのイメージを形成し、向上させて競合他社との差別化を図り市場で優位に立つ戦略です。考え方は、顧客視点の発想が基本。顧客のニーズを捉えて、上質な商品・サービスを提供し、顧客にとってのブランドの価値を高め、さらに自社や商品イメージと他社との差別化を図る手法です。

CIがブランディングと違う点は、顧客視点を内包しつつも原点が企業理念(企業のあるべき姿とは何か)ということです。CIの構成要素は、「理念」「行動」「視覚」という3つの要素で構成されています。大切なのはこの要素が意識的に統一され体系化していることです。

「理念」は、MI(Mind Identity/マインドアイデンティティ)といい、企業の根本的な考え方・在り方・存在意義などを明文化し定めた企業理念です。いわば企業の精神です。

「行動」は、BI(Behavior Identity/ビヘイビアアイデンティティ)といい、上記の企業理念を実現するための施策です。その企業にふさわしい従業員の態度や行動を一貫して行うアイデンティティです。

「視覚」は、VI(Visual Identity/ビジュアルアイデンティティ)という、企業理念を象徴的に視覚化するデザイン要素全体の総称です。

これら3つの要素を統一することで企業イメージがつくり上げられ、育むことにより市場競争で生き残るブランド力が生まれます。また、CIの構成要素以外に企業が届けるすべての顧客の体験(カスタマーエクスペリエンス)に一貫性をもたせて顧客体験を包括的に設計するXI(Experience Identity/エクスペリエンスアイデンティティ)という戦略もあります。

「理念」MI (マインドアイデンティティ)

MIは、企業の根本的な考え方・在り方・存在意義などを明文化し定めた企業理念と述べました。その企業理念は主に以下の要素から成り立ちます。

ミッション(Mission/使命)
「企業が果たすべき使命」もしくは、「社会に貢献する任務」を明文化したものです。社会的なニーズがある、企業の特性に適っている、一人ひとりの従業員自らミッションの価値を信じているといった根拠に基づいていることが大切になります。

それを具体的にミッションステートメント(行動指針)に明文化し企業内で共有します。ミッションは、企業が何のために存在するのか、企業の根幹となる意義や目的というパーパスに、現在どう在るべきか、社会を通して実現すべき使命です。

ビジョン(Vision/志)
ビジョンは企業がなりたい将来像を描き出し社会的意義や貢献といった目的・目標の達成を時間軸に沿って明確に定め、その目指す到達点を全員で共有することで、信頼向上と業務の品質向上につながるメリットがあります。ビジョンは、企業活動が目指すべき到達点です。
・バリュー(Value/価値)
企業が社会に提供する価値です。具体的にはその企業やブランドの独自的な価値を指します。その価値は強みになり、強みがあることで従業員が同じ方向性を目指し効果が生まれます。バリューは企業の強みです。
・スピリット(Spirit/心がけ)
ミッション・ビジョン・バリューの実現に向けて、企業内の一人ひとりの日頃からの考え方や、どう行動するべきかといった心がけの指針です。スピリットは、企業の一人ひとりが大切にする心がけです。
・スローガン(Slogan/伝えたいメッセージ)
企業やブランドのミッション・ビジョン・バリュー・スピリットをそれぞれに分かりやすく短いフレーズで表現したものです。顧客向けか・企業内向けか・ミッションか・ビジョンか・などターゲットや訴求したい内容でフレーズのつくり方も変わってきます。共通することは、その企業やブランドらしさが醸し出されていることです。
スローガンは、認知→興味・関心→共感→行動喚起の機能の働きがあります。タグライン・コーポレートステートメント・ブランドステートメント・コーポレートメッセージとも呼ばれます。スローガンは、企業の思いや熱意を伝えるキャッチフレーズ(合言葉)です。

「行動」BI(ビヘイビアアイデンティティ)

BIは、MIで定めた企業理念を従業員が実際の企業活動に、具体的に分かりやすく行動基準として表したものです。従業員の「行動規範」とも呼びます。理念はもとより法令順守や人権・労働・職場環境なども含めて行動基準を表し、企業のあるべき姿を示す企業も多くあります。

行動規範があることで、個人・部署・組織全体のベクトルが同じ方向で進み、統一した企業活動が可能になります。また、従業員が行動に迷ったときは、原点回帰する指標にもなります。特にB to Cでは顧客への適切な対応をする従業員の行動が、企業イメージの形成に役立ちブランディング効果にもつながります。

こうした行動が徹底されることで企業のあるべき姿への理解や自社への信頼が深まり、従業員の満足度や意欲も向上し、ひいては企業の発展にもつながります。

VIの目的と働き

CI戦略で、その戦略構成に不可欠なのがVIです。VIはCI(コーポレートアイデンティティ)の一部として重要な役割があります。VIはマークやロゴを中心としており、企業やブランドの価値を可視化し、社会にその価値の本質を正しく伝えることを目的としています。

ブランディングにおいても、企業やブランドのマークやロゴを中心に広告・販促物・Webサイトなどの各ツールに展開する際には、ブランドの世界観を視覚的に統一することはブランドイメージを理解浸透させるために欠かせません。

加えてVIは、対外的な戦略だけではなく企業内でも意識統一・組織内の活性化・従業員の帰属意識の向上に導くなど、視覚的訴求で社内的にもプラスの効果を波及させることができます。

VIがもたらす効果

■企業やブランドの世界観を認知向上させる。
 企業やブランドの世界観を構築することにより、与えるイメージをコントロールすることで、視覚的に感性に訴
 求しやすいので共感を生み、認知が向上します。
■競合他社との差別化により、独自性と優位性を担保することが可能。
 企業やブランドの独自のアイデンティティを、視覚化したビジュアルで表現することにより、価値を高め差別化
 戦略で優位に立つことが可能です。
■顧客からの共感や信頼感が増しブランド力向上。
 認知され、差別化戦略も優位だとロイヤリティ(Loyalty)が向上し、企業やブランドの価値が高まります。
■ブランドの世界観を統一することで認識が深まり、コミュニケーションを円滑に進めるのに有効。
 ブランドの世界観が構築されていると、ブランドの浸透力が増し、さまざまなコミュニケーション施策をスムー
 ズに行うことが可能になります。
■社内の共有と意識統一で組織が活性化。
 社員がVIを目にする機会が多くなることで、社内の共通認識と意識統一が高まり、社内のインナーブランディン
 グの浸透度が高まります。

※VI (その2)へと続きます。

企業やブランドの本質を視覚化するVIの制作のプロセスとは。

 

 

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