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競合他社との差別化を図り、顧客満足度を高めるための方針を策定する上で重要になるのがマーケティング戦略です。第4章1部では、マーケティング戦略の概要や計画と戦略の違い、構成要素などについて紹介します。
そもそも戦略とは
戦略とは、組織や個人が目標を達成するために取る計画的なアプローチや行動です。戦略を立てる際には、資源の最適な配分を検討し、内外部の環境や競争相手の動向、組織や個人の強み・弱みなどを分析した結果に基づいて、長期的な目標達成に向けた方針・計画を策定します。
このように戦略は目標を達成するための道筋を示し、組織全体の行動を調整する基盤となります。
マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、企業や組織が市場で成功を収めるために取る戦略的アプローチのことです。製品やサービスの提供、価格設定、顧客対応、プロモーション戦略などを統合的に計画し、市場での競争優位性を築くための方針を決定するプロセスとなります。
マーケティング戦略は、顧客のニーズや市場のトレンドを把握し、これに基づいて価値提供と差別化を図ることを目指します。また、企業のビジョンや目標と連動させ、持続可能な成長を促進することも期待できます。
企業戦略でのマーケティング戦略の位置づけ
企業戦略とは、組織全体の目標と方針を定め、どのように競争環境で成功を収めるかを決定する計画あり、マーケティング戦略は企業戦略の一部として位置づけられます。企業戦略が「どの事業領域に進出するか」や「事業を成長させるための方法」を定めるのに対し、マーケティング戦略は「どのように顧客に価値を提供し、市場で差別化するか」を決定します。
マーケティング計画とマーケティング戦略の違い
マーケティング計画とマーケティング戦略は密接な関係がありますが、それぞれ異なる側面を持っています。マーケティング計画は、具体的な行動計画やタスクを決定するための詳細なドキュメントであるのに対して、マーケティング戦略は、計画全体の方針や目的を定めて、全体像を構築するものです。
つまりマーケティング戦略は計画を導く基盤となり、マーケティング計画は戦略を実行する具体的な手段となるのです。
戦略と計画の統合的な考え方を通じ、効果的なマーケティング戦略を構築し、目標達成に向けて進むことが重要です。
マーケティング戦略の構成要素
マーケティング戦略は、以下の7つの構成要素から成り立っています。それぞれの要素についてご紹介します。
〈市場戦略〉
市場戦略は、どの市場セグメントに焦点を当てるかを決定する要素です。企業がマーケティング戦略を展開する際は、漠然と幅広い市場全体ではなく、特定のニーズや属性を持つ一部の市場セグメントをターゲットとします。市場セグメントを選定し、そのセグメントに合わせたアプローチを構築することで、効果的なターゲティングとカスタマイズが実現できます。
〈エリア戦略〉
エリア戦略は、どの地域やどの地理的な領域に焦点を当てるかを決定する要素です。国内外の都市や地域など、企業が展開するエリアを選定し、その地域に特有のニーズや文化に合った戦略を策定します。また、地域ごとの競争状況や市場の特性を考慮して構築します。
〈商品戦略〉
商品戦略は、製品やサービスの特性や提供方法を決定する要素です。製品の特長や機能、ブランドイメージをどのように設計し、顧客のニーズに合わせてどのように調整するかが重要になります。また、商品ラインナップやポートフォリオの構築も商品戦略の一環です。
〈価格戦略〉
価格戦略は、製品やサービスの価格をどのように設定するかを決定する要素です。価格は顧客の購買意欲や競合他社との差別化に影響を与える重要な要素であり、適切な価格戦略を策定することが求められます。価格帯や値引き戦略、バンドル販売(商品をまとめて売る方法※バーガー+ドリンク+ポテトなど)などが価格戦略の一環です。
〈流通戦略〉
流通戦略は、製品やサービスをどのように市場に提供するかを決定する要素です。販売チャネルの選定や、流通プロセスの最適化などが含まれます。顧客の利便性やアクセス性を考慮して、適切な流通戦略を策定することが重要です。
〈ターゲット戦略〉
ターゲット戦略は、どの顧客層に焦点を当てるかを決定する要素です。顧客セグメントを明確に定義し、そのセグメントに合わせてマーケティングメッセージやアプローチをカスタマイズすることで、顧客の関心を引きつけます。
〈コミュニケーション戦略〉
コミュニケーション戦略は、ブランドや製品に関する情報をどのように伝えるかを計画する要素です。これには広告戦略、セールスプロモーション(SP)戦略、パブリックリレーションズ(PR)戦略、口コミなどが含まれます。各要素を統合して、一貫性のあるコミュニケーションを実現することが重要です。
コミュニケーション戦略の詳細
ブランドや製品に関する情報を、効果的にターゲット層に伝えるためのコミュニケーション戦略は、以下の4つの要素から成り立っています。
〈広告戦略〉
広告戦略は、広告をどのようにデザインし、どのメディアを通じてターゲット層に発信するかを決定します。ターゲットの心理や行動を理解し、魅力的なメッセージを作成することで、広告効果を最大化します。また、適切なタイミングやチャネルを選択することも重要です。
〈セールスプロモーション(SP)戦略〉
セールスプロモーション戦略は、特別なオファーやプロモーションを通じて顧客の購買意欲を高めるための戦略です。割引クーポンやバンドルセットなどのプロモーションをどのように展開するかを計画し、効果的なキャンペーンを実施します。
〈パブリックリレーションズ(PR)戦略〉
パブリックリレーションズ戦略は、企業やブランドのイメージを構築し、信頼性を高めるための戦略です。企業のニュースや成果を広く知らせるために、メディアを通じてプレスリリースや記事を配信します。また、社会的なイベントや取り組みを通じて、ポジティブなイメージを築くこともPR戦略に含まれます。
〈口コミ〉
口コミは、顧客から顧客への情報伝達のことを指します。製品やサービスに満足した顧客が、友人や家族に製品やサービスを推薦することでポジティブな情報やイメージが広がります。口コミ効果を活用するためには、良好な顧客体験を提供し、顧客の声を収集し、フィードバックに対する改善策を実行することが重要です。
コミュニケーション戦略は、これらの要素を統合して、一貫性のあるブランドメッセージを展開し、ターゲット層に訴求する方法を計画します。異なるコミュニケーション手段を組み合わせ、ブランドの知名度向上や顧客忠誠度の向上を図りましょう。
シリーズの続きは以下をご覧ください。
・第1章 企業や商品、サービスを魅力的に活かすマーケティングとは何か
・第6章 現状の問題点ならびにビジネス機会の洗い出しと課題設定
(ポジショニング設定/ターゲット設定/コンセプト設定)