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ここでは、マーケティング戦略立案作業の流れや、企業戦略とマーケティング戦略の違い、それぞれの関係性などを解説していきます。
マーケティング戦略の構成要素と作業の流れ
このセクションでは、マーケティング戦略の構成要素とその作業のプロセスについて紹介します。適切なマーケティング戦略を策定するためにも、以下のプロセスに沿って作業しましょう。
1.企業目標
まず、企業が達成したい目標を明確に定義します。これはマーケティング戦略の基盤となります。
2.市場環境分析
市場の現状やトレンド、競合状況を分析し、市場の動向を把握します。
3.現状の問題点とビジネス機会の洗い出し
市場環境分析を通じ企業の強み弱み、問題点、新たな商機を洗い出します。
4.課題の設定
問題点を整理し具体的な課題を設定します。これに基づき戦略を立案します。
5.マーケティングの基本戦略
ポジショニング設定(製品やサービスの位置づけ)、ターゲット設定(顧客セグメントの特定)、コンセプト設定(ブランドメッセージやコンセプトの決定)を行います。
6.コミュニケーション戦略の立案
販促戦略(セールスプロモーションなど)、広告戦略、広報戦略を考えます。これは前述したコミュニケーション戦略に関連します。
7.広告戦略の立案
広告戦略は、表現戦略(メッセージの作成)とメディア戦略(広告の配信チャネルの選定)から成り立ちます。
このように、マーケティング戦略を策定する際には、企業目標から始まり、市場の分析、問題の特定、基本戦略の立案、コミュニケーション戦略の設計など、複数のプロセスを経ながら構築していきます。
企業戦略とマーケティング戦略の違い
企業戦略とマーケティング戦略は、企業のビジョンと目標を達成するために策定される異なる戦略です。以下でそれぞれの違いを説明します。
企業戦略とは
企業戦略は、企業が長期的に達成したい経営目標やビジョンを具体的に定量化し、そのために必要な事業領域や資源配分、競争優位性などを決定するための戦略です。組織全体の視点から人材や資産、資金、情報などの管理を行い、企業全体の方向性や優先順位を示します。これにより、企業は自らの強みを最大限に活かし、市場での競争力を維持・向上させるための基盤を構築します。
マーケティング戦略とは
一方、マーケティング戦略は、自社の商品やサービスを市場や顧客に提供するための計画となります。自社の強みや弱み、市場や顧客のニーズや動向、競合他社の状況などを分析し、自社の製品やサービスをどのように差別化し、どのようなターゲットにどのようなメッセージでアプローチするかを策定します。
マーケティング戦略は、企業戦略の一部でありながら、顧客との接点を重視し、市場における競争優位性を確立するための手段となります。
このように、企業戦略は企業全体の指針を示すのに対し、マーケティング戦略は市場における競争力を高めるための具体的なアプローチを提供します。企業戦略とマーケティング戦略は相互に影響しあい、連携することで企業の成長と成功につながります。
企業戦略とマーケティング戦略の関係性
企業戦略とマーケティング戦略は、企業の成功に向けて密接に結びついており、一致性や連動性を持たせることが重要です。両者の関係性には以下のような特徴があります。
〈相互影響と連動性〉
企業戦略とマーケティング戦略は相互に影響しあう関係にあります。企業戦略がマーケティング戦略を形成する一方で、マーケティング戦略が企業戦略に対してフィードバックを提供することもあります。例えば、新たな市場の開拓や顧客セグメントの変更は、企業戦略の再評価を促すかもしれません。
〈方向性と具体性〉
企業戦略は全体的な方向性や長期的な目標を示すものですが、マーケティング戦略はより具体的な施策や戦術を示します。企業戦略が「何を達成するか」を定めるのに対し、マーケティング戦略は「どのように達成するか」を具体的に計画します。
〈レベルと範囲〉
企業戦略は全社的な視点から策定されるため、組織全体の方向性が示されます。一方、マーケティング戦略は事業単位や機能単位ごとに策定されることが多く、特定の市場や顧客に焦点を当てます。
〈資源活用と顧客価値最大化〉
企業戦略は経営資源を効率的に活用するための戦略ですが、マーケティング戦略は顧客価値を最大化するために設計されます。マーケティング戦略は、企業の強みや市場のニーズを基に、最も効果的な顧客アプローチを探求します。
〈経営環境と市場環境への対応〉
企業戦略は経営環境全体に対応するための方針を示しますが、マーケティング戦略は特に市場環境に合わせて設計されます。市場の変化や競合の動向に敏感に対応し、競争優位性を確立するための手段を提供します。
これらの要素によって、企業戦略とマーケティング戦略は相互に補完しあい、企業の成長と競争力の向上に貢献します。
第4章のまとめ
この章では、マーケティング戦略の重要な要素である企業戦略とマーケティング戦略に焦点を当てて解説してきました。企業戦略とマーケティング戦略は、企業の目標達成と市場での競争優位性確立に向けて密接に連携する必要があります。改めて、以下のポイントを振り返りましょう。
企業戦略の役割
企業戦略は長期的なビジョンと経営目標を定量化し、企業全体の方向性や資源配分を決定する戦略です。組織のビジョンと目標を達成するために必要な基盤となります。
マーケティング戦略の役割
マーケティング戦略は、市場での競争力を高めるために、商品やサービスの差別化や顧客アプローチを計画する戦略です。市場の動向や顧客のニーズに対応し、企業の競争力を確保します。
関係性と連携
企業戦略とマーケティング戦略は相互に影響し合い、一致性や連動性を持たせることが重要です。両者は方向性や具体性、レベル、資源活用、顧客価値最大化、環境対応などの観点で異なる役割を果たします。企業の成功に向けて適切な企業戦略とマーケティング戦略を策定し、市場での競争に勝ち抜くための戦略的なアプローチを検討することが求められます。
シリーズの続きは以下をご覧ください。
・第1章 企業や商品、サービスを魅力的に活かすマーケティングとは何か
・第6章 現状の問題点ならびにビジネス機会の洗い出しと課題設定
(ポジショニング設定/ターゲット設定/コンセプト設定)