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マーケティング戦略の構築において、現状の問題点やビジネス機会を正確に把握し、そこから具体的な課題を設定するプロセスは、成功に向かう上で非常に重要なステップです。この章では、現状分析の手法やビジネス機会の探求方法、課題設定のポイントについて詳しく解説します。
現状の問題点とビジネス機会の洗い出し
第5章で紹介した社会環境分析、企業分析、市場分析、消費者分析、商品分析、流通分析、コミュニケーション分析の各分析は、企業が自社の内外部環境を網羅的に把握し、現状の問題点やビジネス機会を洗い出す際に有効な手法です。
しかしマーケティング戦略の構築に向けては、それだけでは足りません。各分析に加えて、SWOT分析や4C分析といったフレームワークを用い、分析の深化と戦略策定の指針を得ることが重要です。分析手法を単体で使うのではなく組み合わせて利用することで、内部環境と外部環境の観点から問題点や機会を捉えることができます。
SWOT分析とは、企業の内部の強み(Strengths)や弱み(Weaknesses)を理解し、外部の機会(Opportunities)や脅威(Threats)を洗い出す手法です。これにより、企業がどのような状況にあるのかを把握し、戦略の適切な方向性を見い出すことができます。
4C分析とは、顧客の視点に立って商品購入への影響を分析する手法です。顧客価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つの要素を探求し、それぞれの要素がどのように顧客の意思決定に影響を与えるかを理解します。この分析によって、顧客のニーズや要求に対応した戦略を立案する際の手がかりを得ることができます。
これらの分析手法を活用すれば、企業は現状の問題点を明らかにし、ビジネス機会を見出すことができると同時に、競争環境や顧客の期待に合致する戦略を立てる基盤を築くことができるでしょう。
課題設定について
課題の設定は、企業が目指すべき目標や方向性に対して、現状の不十分さや問題を明確にする作業です。課題を設定することによって、マーケティング活動の目的や優先順位を明確にし、効果的な施策を立案する基盤を整えることができます。課題を設定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
1.客観的な根拠に基づいて設定する
課題は現状の事実やデータに基づいて設定されるべきです。主観的な意見や感想ではなく、客観的な根拠が求められます。現状分析やマーケティングリサーチを通じて客観的な情報を入手し、それらを活用しましょう。
2.SMART基準に従って設定する
課題はSMART基準(明確 Specific、測定可能 Measurable、達成可能 Achievable、関連性 Relevant、期間 Time-bound)に合致する形で設定します。これにより、課題の明確な定義と目標達成に向けた進捗状況の測定が可能となります。
3.問題の本質を捉える
表面的な症状だけでなく、課題の背後にある根本的な原因や要因を明確に捉えることが重要です。問題の本質を理解することで、その解決策をより効果的に検討できます。
4.自社の強みや弱みを考慮する
課題設定に際しては、自社の強みを活かすことや、自社の弱みを補うことができる課題を選ぶことが有益です。自社のリソースや競争優位性を最大限に生かせる課題を見つけ出しましょう。
5.消費者インサイトに注目する
消費者インサイトとは、消費者の深層心理や動機づけなどを指します。消費者インサイトに基づいた課題設定は、消費者のニーズや欲求に対応した施策を展開できる基盤を提供します。
上記のポイントを考慮しながら、課題を設定することで、企業は現状の問題点を正確に把握し、ビジネス機会を活かすための戦略を効果的に形成することができるでしょう。
まとめ
第6章では、マーケティング戦略の重要な要素である「現状の問題点ならびにビジネス機会の洗い出しと課題設定」について解説しました。
現状の問題点やビジネス機会を洗い出すためには、社会環境分析、企業分析、市場分析、消費者分析、商品分析、流通分析、コミュニケーション分析などの各分析を通じて、現状抱えている問題点やビジネス機会を明確にしつつ、SWOT分析や4C分析などのフレームワークを活用しながら、効果的なマーケティング戦略の基盤を築いていくことが大切です。
そして課題設定では、客観的な根拠に基づき、SMART基準に合致する形で課題を設定し、問題の本質や自社の特性を考慮した適切な課題を選定するようにしましょう。
シリーズの続きは以下をご覧ください。
・第1章 企業や商品、サービスを魅力的に活かすマーケティングとは何か
(ポジショニング設定/ターゲット設定/コンセプト設定)