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ブランド戦略を成功に導く!ブランドブック作成ガイド
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1.ブランドブックとは?
ブランドブックとは、ビジョンやミッション、価値観やデザインルール、トーン&マナーなど、ブランドに関するさまざまな要素を網羅した冊子のこと。企業やブランドのアイデンティティを明確にし、社内外での一貫したコミュニケーションを実現するための重要なツールです。ブランドを構成する要素を体系的にまとめることで、ブランドの「核」を形成します。
核が定まれば、ブランドのメッセージがどの接点でも一貫して伝わり、顧客との信頼関係を築くことができるでしょう。また、企業の成長や市場の変化に応じてブランドブックを進化させることで、長期的なブランド価値の向上にも寄与します。
(1)ブランドブックの役割と重要性
① ブランドブックが果たす基本的な役割
ブランドブックは、ブランドの基本的な要素を明確にし、社内外で共有するためのガイドラインです。ブランドブックを作成することで、ブランドのロゴやカラー、フォントの使用ルールが統一され、どのような媒体でもブランドのイメージを損なうことなく伝えることができるようになります。
また、ブランドのストーリーやメッセージを明確にすることで、顧客やパートナーに対してブランドの価値を効果的に伝えることも可能に。そうした特性から、新入社員や外部パートナーに対する教育ツールとしても活用され、ブランドの理解を深めるための重要な役割を果たします。
② ブランド価値を高めるための重要性
ブランドブックは、ブランド価値を高めるための戦略的なツールとして機能します。一貫性のあるブランドイメージを構築すれば、顧客に信頼感を与え、ブランドの認知度や好感度を向上させることができるでしょう。
広告や製品、Webサイトなど、顧客がブランドに触れる接点はさまざまですが、どの接点でブランドに触れても同じメッセージやデザインが伝われば、ブランドの印象は強化されます。この一貫性が、競合との差別化を図り、顧客のロイヤルティを高める要因となります。
(2)他社の成功事例から学ぶ
① ブランドブックを活用した成功事例
ブランドブックを効果的に活用した成功事例として、世界的なスポーツブランド「ナイキ(Nike)」が挙げられます。ナイキは、ブランドブックを通じて「Just Do It」というシンプルかつ力強いメッセージを全世界に一貫して発信しています。このメッセージは、広告や製品デザイン、店舗の内装に至るまで、すべてのブランド活動に反映されています。
そしてナイキのブランドブックには、ロゴの使用方法やカラーガイドラインだけでなく、ブランドの哲学や顧客に伝えたい価値観が詳細に記載されています。この一貫性が、ナイキを単なるスポーツ用品メーカーではなく、顧客のライフスタイルや価値観に寄り添うブランドとして位置づけることに成功した、大きな要因の一つです。
② 成功事例から得られる具体的な学び
ナイキの事例から学べるのは、ブランドブックが単なるデザインマニュアルではなく、ブランドの「魂」を伝えるツールであるという点です。ブランドの哲学や価値観を明確にし、それをすべての活動に反映させることで、顧客との深い共感を生み出すことができています。
ブランドブックを活用する際には、単に作成して終わりではなく、社内外での共有や実践が重要になってきます。ナイキの場合、ブランドブックを基にした一貫性のあるメッセージを発信し続けることで、ブランドの認知度や信頼性を高めることができました。
またブランドブックは、企業の成長や市場の変化に応じて柔軟に更新することも重要です。常に進化をし続けることで、時代に合ったブランドイメージを維持しつつ、顧客との関係を強化することが可能になります。
2.ブランドブックに盛り込むべき要素
ブランドブックには、ブランドのアイデンティティを形成し、顧客やパートナーに対して一貫したメッセージを伝えるために必要な要素が、多数盛り込まれています。そして一つひとつの要素が、ブランドの方向性を明確にし、企業の価値観や文化を反映させるための重要な役割を果たします。以下に、特に重要な要素について詳しく解説します。
(1)ブランドのビジョン・ミッション
① ビジョンとミッションの違いと重要性
ビジョンとは、ブランドが目指す理想的な未来の姿を示すものであり、長期的な目標や夢を表現します。一方、ミッションは、ブランドが存在する目的や、顧客に提供する価値を明確にするものです。ビジョンとミッションは、ブランドの方向性を示すために必要不可欠な要素であり、企業の戦略や意思決定の基盤となります。
例えば、ある企業が「持続可能な未来を創造する」というビジョンを掲げている場合、そのビジョンに基づいて環境に配慮した製品開発や社会貢献活動を行うことが期待されるでしょう。これにより、顧客や従業員はブランドの目的を理解し、共感を持つことができるようになるのです。
② ブランドの方向性を示すための具体例
ビジョンとミッションの具体的な例として、テスラ(Tesla)を見てみましょう。テスラのビジョンは「持続可能なエネルギーの未来を実現する」であり、ミッションは「世界を持続可能なエネルギーに移行させるための加速を図る」となっています。
このように明確なビジョンとミッションを持つことで、テスラは顧客に対して強いメッセージを発信し、ブランドの信頼性を高めています。そして顧客はテスラの製品を選ぶことで、持続可能な未来に貢献しているという意識を持つことができ、ブランドへのロイヤルティが向上します。
(2)ブランドストーリーとメッセージ
① ブランドストーリーの作り方とポイント
ブランドストーリーは、ブランドの背景や価値観、理念を物語として表現するもので、顧客との感情的なつながりを生む重要な要素です。効果的なブランドストーリーを作成するためには、以下のポイントを考慮することが重要です。
・起承転結を意識する:ストーリーには明確な流れが必要です。ブランドの誕生から成長、挑戦、成功までの過程を描くことで、顧客に共感を与えることができます。
・感情に訴える:顧客が感情的に共鳴できる要素を取り入れることで、ブランドへの愛着を深めることができます。
・一貫性を保つ:ブランドの価値観やメッセージと一致したストーリーを展開することで、信頼性を高めます。
② 顧客に響くメッセージの設計方法
顧客に響くメッセージを設計するためには、ターゲットオーディエンスを明確にし、そのニーズや価値観に基づいたメッセージを作成することが重要です。以下のステップを参考にしてください。
・ターゲットの理解:顧客の属性や行動、価値観を分析し、どのようなメッセージが響くのかを考えます。
・シンプルで明確な表現:メッセージはシンプルで分かりやすく、顧客がすぐに理解できるようにします。
・ストーリー性を持たせる:メッセージにストーリーを組み込むことで、顧客の記憶に残りやすくなります。
(3)デザインやトーン&マナーの統一
① ブランドイメージを統一するデザインの重要性
ブランドのデザインは、視覚的なアイデンティティを形成し、顧客に与える印象を大きく左右します。ロゴ、カラー、フォント、ビジュアルスタイルなど、すべてのデザイン要素が統一されていることで、ブランドの認知度が向上し、顧客に強い印象を与えることができるのです。
例えば、アップル(Apple)は、シンプルで洗練されたデザインを一貫して採用しており、これがブランドの高級感や革新性を強調しています。ブランドの価値を高めるために、デザインの統一は欠かせません。
② トーン&マナーを設定する際の注意
トーン&マナーは、ブランドが顧客とコミュニケーションを取る際の言葉遣いや表現方法を指します。これを設定する際には、以下の点に注意が必要です。
・ターゲットに合わせる:ターゲットオーディエンスに適したトーンを選ぶことにより、効果的なコミュニケーションが可能になります。
・一貫性を保つ:すべてのチャネルで一貫したトーンを維持することにより、ブランドの信頼性が向上します。
・ブランドの個性を反映する:ブランドの価値観や文化を反映したトーンを設定することにより、顧客との絆を深めることができます。
3.ブランドブック作成のステップ
ブランドブックの作成は、ブランドのアイデンティティを明確にし、一貫したメッセージを伝えるための重要なプロセスです。ここからは、ブランドブックを作成するための具体的なステップを解説します。
(1) ブランドの現状分析
① 現状分析の具体的な方法とツール
ブランドの現状分析は、ブランドの強みや弱み、機会、脅威を把握するための重要なステップです。具体的な方法としては、以下のような手法があります。
・SWOT分析:ブランドの内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理することで、現状を把握します。
・競合分析:競合他社のブランド戦略や市場でのポジショニングを調査し、自社の立ち位置を明確にします。
・顧客調査:アンケートやインタビューを通じて、顧客のニーズや期待を把握します。これにより、ブランドが顧客にどのように受け入れられているかを理解できます。
これらの分析には、オンライン調査ツールやデータ分析ソフトウェアを活用することが効果的です。
② ブランドの課題を明確にするプロセス
現状分析を通じて情報が得られたら、今度はその情報を基にブランドの課題を明確にしていきましょう。課題の明確化は、以下のフローで進めていきます。
・データの整理:分析結果を整理し、主要な課題を抽出します。
・優先順位の設定:課題の重要度や緊急度に基づいて優先順位を設定します。
・具体的な目標設定:課題を解決するための具体的な目標を設定し、達成可能なアクションプランを策定します。
(2)コンセプトの明確化
① ブランドコンセプトを定義するための手順
ブランドコンセプトは、ブランドの核となるアイデンティティを形成する上で重要な要素となります。コンセプトを明確化するための手順は以下の通りです。
・ブランドのビジョンとミッションの再確認:すでに定義したビジョンとミッションを基に、ブランドの方向性を再確認します。
・ターゲットオーディエンスの特定:ブランドがどのような顧客層をターゲットとするかを明確にします。
・競合との差別化ポイントの洗い出し:競合他社と比較して、自社のユニークな価値を明確にします。
・コンセプトのドラフト作成:上記の要素を基に、ブランドコンセプトの初稿を作成します。
② コンセプトを具体化するためのフレームワーク
コンセプトのドラフトが作成できたら、具体化に向けて進んでいきましょう。ブランドコンセプトを具体化するためには、以下のフレームワークを活用することが効果的です。
・ブランドの3つのC(Customer/Company/Competitor):顧客、企業、競合の視点からブランドを分析し、コンセプトを具体化します。
・ポジショニングマップ:競合と自社の位置を視覚的に示すことで、ブランドの立ち位置を明確にします。
・ブランドパーソナリティ:ブランドを人に例えた場合の性格や特徴を定義し、顧客との感情的なつながりを強化します。
(3)デザインとコンテンツの制作
① デザイン制作の流れとポイント
ブランドブックのデザイン制作は、ブランドのビジュアルアイデンティティを確立するための重要なステップです。以下の流れを参考にしてください。
・デザインブリーフの作成:ブランドのビジョン、ミッション、ターゲットオーディエンスを基に、デザインの方向性を明確にします。
・ラフデザインの作成:初期のデザイン案を作成し、フィードバックを受けながら修正を行います。
・最終デザインの決定:フィードバックを反映させた最終デザインを決定し、ブランドブックに組み込みます。
・デザインガイドラインの作成:ブランドのデザイン要素(ロゴ、カラー、フォントなど)をまとめたガイドラインを作成し、一貫性を保つための基準を設けます。
② コンテンツ制作で意識すべき要素
ブランドブックのコンテンツ制作では、以下の要素を意識することが重要です。
・明確で簡潔な表現:読者が理解しやすいように、明確で簡潔な言葉を使用します。
・ストーリー性のある内容:ブランドのストーリーやメッセージを盛り込み、読者の興味を引く内容にします。
・視覚的要素の活用:テキストだけでなく、画像やグラフ、図表を活用して視覚的に訴えるコンテンツを作成します。
・一貫性の保持:ブランドのトーン&マナーに沿った表現を心がけ、一貫したメッセージを伝えます。
4.ブランドブックを活用する方法
ブランドブックは、ブランドのアイデンティティやメッセージを一貫して伝えるための重要なツールであり、作成して終わりではありません。このセクションでは、ブランドブックを効果的に活用する方法について解説します。
(1)社内での共有と教育
① 社員にブランドブックを浸透させる方法
ブランドブックを社員に浸透させるためには、以下の方法が効果的です。
・定期的なワークショップの開催:ブランドブックの内容を理解し、実践するためのワークショップを定期的に開催します。これにより、社員がブランドの価値やメッセージを深く理解できるようになります。
・イントラネットでのアクセス提供:ブランドブックをイントラネット上に掲載し、全社員がいつでもアクセスできるようにします。これにより、必要なときに情報を確認できる環境を整えます。
・ブランドアンバサダーの育成:各部門からブランドアンバサダーを選出し、ブランドへの理解を深めてもらいます。ブランドアンバサダーは、他の社員にブランドの重要性を伝える役割を担います。
② 社内教育で活用する際の具体的な施策
社内教育でブランドブックを活用する際には、以下の具体的な施策を考慮します。
・新入社員研修への組み込み:新入社員研修にブランドブックの内容を組み込み、早期にブランドの理解を促進します。
・定期的なリフレッシュセミナー:社員がブランドの最新情報や変更点を把握できるよう、定期的にリフレッシュセミナーを実施します。
・評価制度への組み込み:ブランドの価値観や行動基準を評価制度に組み込み、社員がブランドに沿った行動を取ることを促します。
③ 顧客やパートナーへの活用
ブランドブックを顧客に活用するメリット
ブランドブックを顧客に活用することには、以下のようなメリットがあります。
・ブランドの信頼性向上:ブランドブックを通じて、ブランドのビジョンやミッション、価値観を顧客に伝えることで、信頼性を高めることができます。
・顧客とのエンゲージメント強化:ブランドのストーリーやメッセージを共有することで、顧客との感情的なつながりを強化し、ロイヤルティを向上させます。
・一貫したコミュニケーションの実現:ブランドブックを基にしたコミュニケーションを行うことで、顧客に対して一貫したメッセージを伝えることができます。
④ パートナーシップ強化のための活用事例
ブランドブックをパートナーシップ強化に活用する具体的な事例として、以下のような方法があります。
・共同マーケティング活動の基盤:ブランドブックを基にした共同マーケティング活動を展開し、パートナーとの協力関係を強化します。例えば、共同キャンペーンやイベントを実施する際に、ブランドブックの内容を参考にすることで、一貫したメッセージを発信できます。
・パートナー向けのトレーニングプログラム:パートナーに対してブランドブックを活用したトレーニングプログラムを提供し、ブランドの理解を深めてもらいます。これにより、パートナーがブランドの価値を正しく伝えることができ、より強固な関係を築くことができます。
・定期的な情報共有:ブランドブックの更新情報や新しい施策をパートナーと定期的に共有することで、常に最新の情報を提供し、信頼関係を築きます。
5.ブランドブック作成でよくある失敗とその対策
ブランドブックの作成においては、さまざまな失敗が発生する可能性があります。以下に、よくある失敗とその対策について解説します。
(1)ブランドの方向性が不明確なケース
① 方向性を明確にするための具体的な手順
ブランドの方向性が不明確な場合、以下の手順を踏むことで明確にすることができます。
・ビジョンとミッションの再確認:ブランドのビジョンとミッションを再評価し、何を目指しているのかを明確にします。
・ステークホルダーとの対話:社内外のステークホルダー(社員、顧客、パートナーなど)との対話を通じて、ブランドに対する期待やニーズを把握します。
・市場調査の実施:競合分析や顧客調査を行い、ブランドがどのように市場で位置づけられているかを理解します。
・方向性の文書化:上記の情報を基に、ブランドの方向性を文書化し、関係者全員に共有します。
② 失敗事例とその改善策
ブランドの方向性が不明確なままブランドブックを作成した場合、以下のような失敗が起こることがあります。
・失敗事例:ある企業がブランドブックを作成したが、ビジョンやミッションが曖昧で社員がブランドの価値を理解できなかった。
・改善策:方向性を明確にするために、上記の手順を実施し、ブランドのビジョンとミッションを再定義した。その後、社員向けのワークショップを開催し、ブランドの価値を浸透させた。
(2)デザインや内容が一貫していないケース
① 一貫性を保つためのチェックポイント
デザインや内容が一貫していない場合、以下のチェックポイントを確認することで改善できます。
・ブランドガイドラインの作成:ロゴ、カラー、フォント、トーン&マナーなどのデザイン要素を明確に定義したブランドガイドラインを作成します。
・コンテンツレビューの実施:ブランドブックのコンテンツを作成する際に、定期的にレビューを行い、一貫性を保つようにします。
・関係者のフィードバックを受ける:デザインや内容に関して、関係者からのフィードバックを受け入れ、必要に応じて修正を行います。
・トレーニングの実施:社員やパートナーに対して、ブランドのデザインやメッセージの一貫性を保つためのトレーニングを実施します。
② 実際の改善事例とその効果
デザインや内容が一貫していない場合の改善事例として、以下のようなケースがあります。
・改善事例:ある企業がブランドブックのデザインにおいて、異なるフォントやカラーを使用していたため、ブランドの印象が散漫になっていた。
・改善策:ブランドガイドラインを作成し、すべてのデザイン要素を統一した。その結果、ブランドの認知度が向上し、顧客からの信頼も高まった。
6.成功するブランドブックを作るためのチェックリスト
成功するブランドブックを作成するためには、事前の準備と作成後の確認が重要です。以下に、ブランドブック作成におけるチェックリストを提供します。
(1)作成前の準備
① 必要な情報やリソースの整理方法
ブランドブックを作成する前に、以下の情報やリソースを整理することが重要です。
・ブランドのビジョンとミッション:ブランドの根幹を成すビジョンとミッションを明確にし、文書化します。
・市場調査データ:競合分析や顧客調査の結果を整理し、ブランドの位置づけを把握します。
・デザイン要素:ロゴ、カラー、フォントなどのデザイン要素を整理し、ブランドガイドラインを作成します。
・コンテンツのアイデア:ブランドストーリーやメッセージ、事例など、ブランドブックに盛り込むコンテンツのアイデアをリストアップします。
② チーム内での役割分担とスケジュール管理
ブランドブック作成において、チーム内での役割分担とスケジュール管理は以下のように行います。
・役割分担の明確化:各メンバーの役割を明確にし、誰がどの部分を担当するかを決定します。
・プロジェクトスケジュールの作成:ブランドブック作成の各ステップに対して、具体的なスケジュールを設定します。
・定期的な進捗確認:チーム内で定期的に進捗を確認し、問題が発生した場合には迅速に対処します。
・コミュニケーションの促進:チーム内での情報共有を促進し、意見やアイデアを自由に出し合える環境を整えます。
(2)作成後の確認ポイント
① ブランドブックの内容をテストする方法
ブランドブックの内容をテストするためには、以下の方法を活用します。
・社内レビュー:ブランドブックのドラフトを社内の関係者にレビューしてもらい、フィードバックを受け取ります。
・ターゲットユーザーへのテスト:実際の顧客やターゲットユーザーにブランドブックを見せ印象を確認します。
・ワークショップの実施:ブランドブックを基にしたワークショップを開催し、参加者の反応を観察します。
・フィードバックの反映:収集したフィードバックをもとに、必要な修正を行います。
② 最終確認で見落としがちなポイント
ブランドブックの最終確認では、以下のポイントを見落とさないように注意します。
・誤字脱字のチェック:文書内の誤字や脱字を確認し、正確な表現を心がけます。
・デザインの一貫性:デザイン要素が一貫しているか、ブランドガイドラインに沿っているかを確認します。
・コンテンツの整合性:各セクションの内容が整合性を持っているか、全体としてのメッセージが一貫しているかを確認します。
・印刷・配布の準備:最終版の印刷やデジタル配布の準備を行い、必要なフォーマットで保存します。
7.ブランドブック作成後の運用・管理
ブランドブックを作成した後は、運用と管理を行っていくことが大切です。ここからは、ブランドブックの運用・管理に欠かせない重要性について紹介します。
(1)定期的な更新と改善
① ブランドブックを定期的に見直す重要性
ブランドブックは一度作成したら終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。
・市場環境の変化に対応:市場や競合の状況が変化する中で、ブランドのメッセージや戦略も見直す必要があります。
・新しいトレンドの反映:デザインやコミュニケーションのトレンドが変わるため、最新のスタイルや手法を取り入れることが求められます。
・ブランドの成長に合わせた調整:ブランドが成長するにつれて、ビジョンやミッシン、ターゲット層も変わることがあるため、それに応じた更新が必要です。
・社内の意識向上:定期的な見直しを行うことで、社員のブランドに対する理解と意識を高めることができます。
② 更新時に考慮すべきポイント
ブランドブックを更新する際には、以下のポイントを考慮します。
・フィードバックの反映:社内外からのフィードバックを基に、必要な修正や改善を行います。
・新しいデータの追加:最新の市場調査や顧客の声を反映させ、ブランドの現状を正確に反映します。
・デザインの見直し:デザイン要素が古くなっていないか確認し、必要に応じてリフレッシュします。
・関係者との協議:更新内容について関係者と協議し、合意を得ることで、全員が同じ方向を向けるようにします。
(2)社内外からのフィードバック活用
① フィードバックを収集する方法
ブランドブックに対するフィードバックを収集するための方法は以下の通りです。
・アンケート調査:社員や顧客に対してアンケートを実施し、ブランドブックに対する意見を収集します。
・インタビュー:重要なステークホルダーや顧客に対してインタビューを行い、深い洞察を得ます。
・ワークショップの開催:ブランドブックを基にしたワークショップを開催し、参加者からの意見を集めます。
・オンラインプラットフォームの活用:社内のイントラネットや専用のフィードバックツールを利用して、意見を収集します。
② フィードバックを反映させるプロセス
収集したフィードバックをブランドブックに反映させるためのプロセスは以下の通りです。
・フィードバックの整理:収集したフィードバックを整理し、重要なポイントを抽出します。
・優先順位の設定:反映すべきフィードバックに優先順位を付け、重要度に応じて対応します。
・修正案の作成:フィードバックを基にした修正案を作成し、関係者に提示します。
・最終確認と実施:修正案を関係者と確認し、合意を得た後に実施します。
・結果の評価:更新後のブランドブックの効果を評価し、次回の更新に向けた改善点を見つけます。
8.ブランドブックでブランド価値を高めるために
ブランドブックは、企業のブランド戦略を明確にし、ブランド価値を高めるための重要なツールです。そうしたブランドブックの効果と今後の展望についてまとめます。
(1)全体のまとめと今後の展望
① ブランドブックがもたらす効果と成果
ブランドブックは、以下のような効果と成果をもたらします。
・ブランドの一貫性の確保:ブランドブックを通じて、すべてのコミュニケーションやマーケティング活動において一貫したメッセージを発信することができます。
・社内の理解と浸透:社員がブランドのビジョンやミッションを理解し、日々の業務に活かすことで、ブランドの価値が社内に浸透します。
・顧客との信頼関係の構築:一貫したブランドメッセージは、顧客との信頼関係を築く基盤となり、ブランドロイヤルティを高めます。
・競争優位性の強化:明確なブランド戦略を持つことで、競合他社との差別化が図れ、市場での競争優位性を強化します。
・ブランドの成長促進:ブランドブックを活用することで、新しい市場や顧客層へのアプローチが容易になり、ブランドの成長を促進します。
② 今後の運用方針や改善点
ブランドブックの運用においては、以下の方針や改善点を考慮することが重要です。
・定期的な見直しと更新:市場環境や顧客ニーズの変化に応じて、ブランドブックを定期的に見直し、必要な更新を行います。
・フィードバックの活用:社内外からのフィードバックを積極的に収集し、ブランドブックに反映させることで、常に改善を図ります。
・教育とトレーニングの強化:ブランドブックの内容を社員に浸透させるための教育やトレーニングを定期的に実施し、ブランドの理解を深めます。
・デジタル化の推進:ブランドブックをデジタル化し、アクセスしやすい形で提供することで、社内外の関係者が容易に利用できるようにします。
・成果の測定と評価:ブランドブックの運用による成果を定期的に測定し、評価することで、次のステップに向けた戦略を立てます。
ブランドブックは、企業のブランド価値を高めるための強力なツールです。適切に運用し、継続的に改善を行うことができれば、ブランドの成長と成功を支える基盤となってくれるでしょう。
またブランドブックは、単なる内部文書ではありません。活用の幅を外部にまで広げれば、顧客にブランドの世界観や価値を伝え、深い共感と長期的なロイヤルティを築くための重要なツールともなり得ます。企業の未来につなぐ架け橋としても機能するのです。
さらに、ブランドブックは企業の「思い」や「魂」を表現し、すべてのステークホルダーとの関係を強化する力を持っています。適切に作成され、効果的に活用されるブランドブックは、企業の持続的な成長と成功を支える不可欠な要素です。変化の激しいビジネス環境において、その重要性は今後さらに高っていくでしょう。
だからこそブランドブックは、単なる文書としてではなく、成長と革新の原動力と捉えて継続的に進化させる必要があります。ブランドブックへの投資は、企業の未来への投資そのものです。
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